高収益を生む貸別荘・バケレンの開業開発ポイント

コロナ禍で、第3者と接触が少ない貸別荘が脚光を浴びました。
事業再構築補助金による政府の支援もあり、貸別荘事業へ参入を検討する事業者も増加傾向にあります。
特に関東や関西を中心に貸別荘やバケーションレンタル(バケレン)の開業が相次いでいます。

この記事では貸別荘ビジネスに参入する企業に向け、開発や開業におけるポイントを列挙、整理してお伝えします。この記事を書く私たちマリントピアリゾートグループは、全国で300棟を超えるバケーションレンタルを運営する直営事業者です。社内で開発検討する際のノウハウを余すことなくお伝えします。

立地選定ポイント(1)

貸別荘・バケレンの開業コストで最も大きくなるものは建物費です。
特に新築すると大きな投資となります。
理想をいえば、中古別荘や保養所など活用可能な建物が付帯している土地を選択したいところです。

「那須」「軽井沢」「山中湖」「関東」「河口湖」「箱根」「内房」「伊豆」「富士五湖」「富士山が見える」「南房総」「山梨」「茨城」「北海道」「ニセコ」「関西」「琵琶湖」「宮津」「淡路島」「由布院」「三重」「伊勢」「沖縄」などのキーワードが「貸別荘」と一緒に検索されています。
事業地を選択する際は、上記のエリアであれば、成功確率が高くなる上、中古別荘や保養所の情報も入手可能です。

立地選定ポイント(2)

ロケーションを表すキーワードとして「貸別荘」と一緒に検索されるのが、「湖畔」「湖」「小川」「渓流」「海沿い」「海」「海の近く」「海辺」「ゴルフ」「温泉付き」「露天風呂」「スキー場」「BBQ」です。

川や湖、温泉など癒しを求めるキーワード、オーシャンビューなど眺望の良さを求めるキーワードが頻繁に検索されています。
これらの条件を満たす物件は事業地として適していることになります。
また「ゴルフ」「スキー場」「BBQ」というレジャーとセットにしたキーワードも検索されており、事業地近くに該当施設がある場合は集客に有利に働くでしょう。

特に「BBQ」は検索ボリュームが多く、BBQ食材の提供サービスやコンロの貸し出し、スペースの確保は貸別荘の開業には欠かせないアイテムです。

立地選定ポイント(3)

物件選びは平坦地で開発許可取得済の物件を選びたいところです。
程度によりますが、傾斜地では建物基礎工事やテラス工事(ウッドデッキなど)が平坦地のケースと比較すると数倍に膨らみます。

また開発許可が必要なケースは、許可に要する時間や雨水対策等の工事費用など、事業のハードルを格段に高くしてしまいます。
既存別荘地で事業を計画することができれば、時間も費用も大幅に削減することが可能です。

その他、事業参入に当たりクリアすべき法律や規制を列挙します。

■用途地域

用途地域。貸別荘・バケーションレンタル事業を行うには旅館業法の取得が必要ですが、ホテルや旅館などの宿泊事業を行える用途かチェックが必要です。住宅専用地域、工業専用地域など「専用」と定められている用途地域は、宿泊事業を行うことはできませんので注意が必要です。

ただ、住専地域であっても旅館業許可が認められるケースもあります。箱根や由布院は、レクレーションエリアとして条例で旅館業が認められるエリアもあります。南紀白浜では、周辺同意の条件はありますが住専地域でも旅館業許可を取得できるケースがあります。

また市街化調整区域では、建物の建築が原則できません新規に建物を整備する計画は難しいので注意が必要です。

■自然公園法

伊豆・瀬戸内海・伊勢・箱根・富士山周辺などのエリアでは、自然公園法で開発行為の内容が制限されています。エリアによって規制の内容は異なり、当該地の環境事務所への事前確認が必要です。

建物や工作物の形状や色彩、植栽や擁壁の工法、道路からの後退距離、一つの建築物に必要な土地面積など細部にわたり、ルールが決まっているケースもありますので注意が必要です。

■景観条例

市町村で独自に景観条例が設定されているエリアがあります。観光地であれば、かなりの確率で何らかの条例が存在します。

建物の形状や色彩、看板などの工作物に対して取り決めがありますので、市町村の都市計画課で確認が必要です。

■水質汚濁防止法

貸別荘ビジネスでは、施設開発の前に事前に届け出る必要があります。これは排水に関する届け出であり、管轄はエリア内の保健所のケースが多いです。基本的に貸別荘・バケーションレンタル施設は、厨房設備や入浴設備を設置するのが通常ですので届け出が必要です。着工の60日前までに届け出を行う必要があります。

■旅館業法

旅館業法の営業許可には「ホテル・旅館」「簡易宿泊所」「下宿」があります。貸別荘の場合、ほとんどが簡易宿泊所になります。旅館業法は主に、疫病流行や排水に関する宿泊施設がクリアすべき衛生基準を取り決めることを目的としています。宿泊定員に応じた入浴設備やトイレ、排水設備について協議を行うことになり、施設の全体設計に影響がある要素が多いため、施設計画の初期段階から事前協議が不可欠です。

次に高収益な貸別荘・バケレン経営に必要なテーマを解説します。

 

インターネット集客

貸別荘・バケーションレンタルの経営を成功させる上で、最も重要かつ難易度が高いのが集客です。
これは全国でバケーションレンタル、グランピングを50施設以上経営する当社の経験から断言できる事実です。

貸別荘を含む宿泊施設のネット集客は先行している施設が有利であり、新規参入者が認知してもらうことは相当に難しいものです。
楽天トラベル等の予約ポータルサイトは実績豊富な施設を上位表示します。
上位表示の基準は、口コミ数や評価点によるものが多いです。
貸別荘経営を考える際、施設をいかにして認知してもらうのか具体策を十分に練っておく必要があります。

宿泊施設の予約はインターネット経由が主流です。
人気の貸別荘・バケーションレンタルはほぼインターネット予約に特化しています。
また人気の施設ほど、ポータルサイトに依存せず、自社サイトからの集客で事業を成り立たせています。

自社サイトのみでは不安のある新規参入者は楽天トラベルや一休バケーションレンタル、じゃらんなどの予約ポータルサイトを検討しますが、後発施設で利用実績が少ない施設は期待通りの集客ができません。

自社サイトを集客のメインルートに

旅館業界は旅行代理店に頼りすぎて衰退しています。
ウェブ集客が当たり前の時代、楽天トラベルやじゃらんなどのオンライン旅行代理店に首根っこをつかまれています。

代理店の手数料は、一般的には予約金額の10%程度が多いようですが、外資系OTAなどは25%をとる事業者もあり、これでは健全な経営は不可能です。
開業当初は辛抱できても、オンライン代理店の手数料値上リスクや広告費負担などの余計な心配やリスクを考えなくてはいけません。

基本的には自社サイトからの予約獲得を前提に経営を考えましょう。

「貸別荘+地名」の検索キーワードがもたらす課題

これから新規に開業するに事業者は、自力で施設の認知度を上げないといけません。
Googleの検索窓に貸別荘のキーワードを入力すると、関東や関西、都道府県名や観光地が候補ワードとして表示されます。
当然ながらこうした検索結果の上位に表示されない施設の集客は覚束ないです。

Googleのアルゴリズムはアクセス数の多いサイトを優先するので、早くから開業している貸別荘の公式サイトや、まとめサイトが上位表示されます。
これらライバルより上位表示させることは、かなりハードルが高いのが実情です。
メディア対応やインターネットに関して専門性の高い事業者と手を組むなどしなければ、安定した集客は難しいでしょう。

客室単価アップ戦略

貸別荘において、営業利益に直結しやすく、最重要のプロセス指標は客室単価と言われています。特に我が国は、休日がほぼ全国一律であり、平日と休前日の需要格差は大きいです。年間100日程度は極端な需要超過、残りの日は極端な供給過剰になっています。

この需要超過の100日は、大半の貸別荘施設で予約が獲得できます。

7月~9月の稼働率80%越えは、貸別荘やバケレンを経営する上では、当たり前のレベルと言って過言ではありません。

この確実に予約が取れる日に、いくら売り上げることができるのかが貸別荘経営のポイントです。高収益を上げるためには、夏場のADRは50,000円以上ほしいところです。

ADRを上げる方向は、1人当たりの金額を上げる方向と、宿泊人数を増やす方向があります。

集客力を維持しつつ客室単価を上げるには、1棟当たりの宿泊人数を増やす方向を検討する必要があります。大人数で宿泊可能な貸別荘とするためには、建物間取りや施設コンセプトやアクティビティに工夫が必要です。大人数グループ、大学生グループ、若い女性のグループ、企業などの研修旅行、シニアを含む3世代、幼児を含む複数家族などの様々なパターンがあります。各々のグループで求められるものは、少しずつ異なります。

これらニーズにきめ細かく対応することが高収益な貸別荘経営には不可欠です。

貸別荘バケーションレンタル経営の3要素

貸別荘バケーションレンタルの経営を成功させるノウハウは大まかに、「ネット集客ノウハウ」「不動産開発ノウハウ」「飲食提供ノウハウ」の3つです。

① 飲食提供ノウハウについて

事業者の中には、人件費負担や食材管理などの煩わしさから「飲食提供をしない」という考えの企業も散見されますが、あまりおすすめの考え方ではありません。
食事提供できない施設は、キャンプ場のコテージと同レベルとみるユーザーが多く、客室単価が低くなってしまうリスクがあります。
またオフシーズンの集客において打ち手が極端に少なくなるため夏休みとお盆以外は低空飛行、高収益な施設を目指すことが難しくなってしまうのが理由です。

貸別荘はホテルや旅館より客室数が少ないため、料理人などの固定スタッフを採用するわけにもいきません。高収益な貸別荘施設をつくるには、料理提供のオペレーションを簡素化する必要があります。

超高級を志向するのであれば、料理人が専属でディナー提供するタイプも考えられますが、標準グレードの施設であれば調理ができないスタッフでも料理提供できるように考えましょう。

となると料理の仕込みをするタイミングが重要です。「出来立てを食べてもらいたい」「新鮮な素材を食べてもらいたい」という想いは大切ですが、理想だけを追いかけると調理スタッフの人数が膨らみ人件費で経営が圧迫されます。貸別荘に多いBBQメニューの提供については、女性人気の高いスキレット料理やダッジオーブン料理を事前に仕込むことで、顧客満足とローコスト体制を両立する方向が望ましいです。

当社では食事メニューの一部をセントラルキッチンで事前に仕込み、冷凍保管をする体制を構築しています。貸別荘経営の場合、事前に食事提供の数量を把握できるため、冷凍で仕込んだ食材を解凍して、ケータリング的に提供することで、食事提供コストをコントロールしています。

② 不動産開発ノウハウについて

不動産開発ノウハウ(立地選定)については、開発許可申請、農地法、建築確認など複数の条件が絡むケースが多く、土地改良や上水・電気などの引込工事(インフラ工事)の予測など、経験がないと事業費を算出するのが、難しいビジネスとなります。

この点については、弊社にご相談いただければと思います。
近年、建築コストが大幅に上昇しています。特に2022年に開発した実績が乏しいコンサルティング会社や専門家は予算を読み間違えるリスクが高いです。
当社では、2022年にも30施設以上の開発に主体的に関わっていますので、事業費の予想をある程度正確に行うことが可能です。

③ インターネット集客のノウハウについて

単純にホームページを作成し公開するだけでは集客は見込めません。
検索エンジン対策や、関連サイトへの掲載、施設名でダイレクトな検索を増やす活動を適宜行う必要があります。

施設が人気化すれば、ホテルや旅館とは比較にならないほど収益性は高くなります。
当社グループには、貸別荘バケーションレンタル・グランピングを専門に集客する企業もあります。

2022年度(2022年5月~2023年4月)は取扱高90億円に届くレベルで集客を行っています。
全国にクライアントがありますので、エリアの競合状況調査や、販売施策の提案も可能です。
ぜひ、相談相手の1社としてご検討いただければと思います。

地方都市にて3つのスキルを単体事業者がもつケースは少ないですが、それぞれの強みを活かしたアライアンスが組めれば、貸別荘バケーションレンタルはとても魅力的な事業になります。

当社のように1社で全てをカバーすることはなかなか難しいことです。
信頼できるパートナー企業を見つけられれば、開業がスムーズに進むでしょう。
ぜひ、お気軽にお問合せ下さい。

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