儲かる貸別荘経営について分かりやすく解説します

コロナ禍、非接触のプライベート空間が人気の貸別荘経営。
ホテルや旅館と比較して投資リスクが低く、儲かる宿泊業態として関心を持つ事業者が増えています。
拡大を続ける貸別荘市場へ参入を検討される事業者に、参入のポイントをお伝えします。

まずは貸別荘の開業場所について。

儲かる貸別荘経営その1「エリア検討」

立地の選び方

基本的には人口の多い場所から距離が近いエリアの成功確率が高いです。
距離の目安としては、人口密集地から150㎞圏内。
2時間程度でアクセスできる距離が目安です。
関東であれば、伊豆・箱根・熱海・富士五湖・那須高原・房総半島など。
関西であれば、淡路島・琵琶湖・京都市近郊・京都天橋立・南紀白浜・六甲などです。
基本的には別荘地や観光地として知名度のあるエリアが有利です。
箱根・熱海・伊豆などは温泉のイメージが強いため、温泉提供可能な物件が手配できれば、冬のオフシーズンの集客が有利に働きます。

土地の選び方

風光明媚で景色の良いロケーションが理想ですが、見つけるのは困難です。
また水道や電気のインフラ整備にも注意しましょう。
特に上水道が近隣に整備されていないケースは、莫大な費用が必要になるため注意が必要です。
眺望の良い場所に多い傾斜地も、できるだけ緩やかな土地を選びましょう。
傾斜が強すぎると、建物の基礎工事や駐車場の費用がかさみ、当初の見込んだ経費内に収まらないケースが出て来ます。
格安の広い土地を見つけた場合、愛犬同伴型の貸別荘を検討してみましょう。
広い土地にプライベートドッグランのある貸別荘バケーションレンタルは確実に人気が出るでしょう。
もし駅近くに候補地が見つかった場合、インバウンド集客を念頭に置くと良いでしょう。
海外バケーションレンタルは日本市場と比較して大きく、日本に来る1割程度のユーザーは貸別荘を望んでいるというデータもあります。

各種法規制への対応

貸別荘に関する法律は、「都市計画法」「建築基準法」「旅館業法」「水質汚濁防止法」「自然公園法」などがあげられます。
ロケーションは抜群でも、規制で開業が困難なケースもあります。
事前協議を行わずに工事に着手し、後々トラブルになるケースも散見されます。
予定地の土木事務所、保健所、都市計画課、上下水道課には土地購入前に相談に行くことが望ましいです。
また自然公園法特別地域で開業を検討する場合、環境省(環境事務所、自然保護課など)に事前相談が必要です。
自然公園法特別地域は、建蔽率が小さい上、道路からのセットバック規制や複数棟を建築する場合の離隔規制がありますので特に注意が必要です。

儲かる貸別荘経営その2「コンセプトづくり」

ユーザーは客室、食事、全体の雰囲気など、実物を見ない中で予約判断します。
写真の良し悪しは、集客に大きな影響を与えます。
成否は「魅力的な画像や動画」といって過言ではないほど、「見た目」は重要です。
検討中のロケーションで、どのような施設を作るのか事前にイメージいただくことが重要です。

「閑散期の頭」で考える

貸別荘の閑散期は1月・2月です。
この冬の集客をどうするかを考えることで、成功確率があがります。
冬の集客は、建物のカラーリング、温泉、防寒BBQスペース、薪ストーブ、客室サウナなどのコンテンツが威力を発揮します。
お風呂の作り方によっては温泉を引き込んでも集客力が上がらないケースもあります。
温泉らしさを訴求するお風呂の作り方は重要な成功ポイントとなります。
当社がプロデュースする施設では、上記のようなコンテンツをできるだけ取り揃えます。
ほとんどの設計事務所は貸別荘の集客をご存じありませんので、設計業務着手前に十分な説明時間をとることをお奨めします。

競合施設とのバランス

主要商圏からみて近距離に競合施設がある場合、入念に事業計画を組む必要があります。
基本的には競合施設を上回る機能を考える必要があります。
予算的に厳しい場合は計画棟数を減らしてでもハード面を充実させることをおすすめします。
ハード面の充実は温泉やサウナ、客室面積、料理メニュー、ペット対応、アクティビティ、プライベートプールなどの観点で検討しましょう。
「価格で下をくぐる」は経営を難しくしますので、基本的には進んではいけない方向です。

儲かる貸別荘経営その3「収支を合わせやすい参入パターン」

ホテルや旅館に併設

ホテルや旅館に併設するタイプは、人件費負担を最小化できますので経営的に成功しやすいです。
チェックイン業務や清掃、食事提供をホテル・旅館の人員でこなすことができるアドバンテージは大きいものです。
さらに温泉など大浴場が活用できる場合、イニシャルコストの削減につながります。
旅館業法の申請についても変更申請で対応できるなど、旅館ホテルの運営事業者様が検討される場合、スムーズに参入できます。

温浴施設に併設

温浴施設に貸別荘を併設するのも成功確率が高いです。
特に評判の温泉の場合、冬季集客に大きなアドバンテージとなります。
敷地内に源泉がある場合や引込可能な場合、貯湯タンクを設置する等の方法で客室温泉を整備すれば競争力はかなり高まるでしょう。

キャンプ場内に併設

全くの未開発の土地を活用するケースに比べ、キャンプ場内に貸別荘バケーションレンタルを整備するケースはイニシャルコストが小さくすみます。
キャンプ場内に整備すると、造成費用や雨水対策工事が少額化できる可能性があります。

自治体の公募提案制度

自治体が所有する遊休地の活用アイデアを募集する事例が多くなっています。
借地料も安価に設定されるケースも多く、自治体所有の土地で貸別荘経営が展開されるケースの増加が見込まれます。
事業期間は一般的に20年に設定されるケースが多いですが、中に10年間のケースもあります。
10年間なら、投資を調整し、コンテナなどを検討すると良いと思います。
コンテナの場合は撤退時に移設をして、別の場所の事業に活かすことも可能です。

儲かる貸別荘経営その4「プライシングとコンセプト」

次にどのようなタイプの貸別荘を経営するのが良いかお伝えします。
一言で貸別荘といっても様々なタイプがあります。
安価に参入できるタイプは、民泊営業を前提としたマンションワンルームや中古別荘です。
中古別荘にもログハウスや平屋建て、企業が保養所として活用していた大規模な建物など様々です。

マンションタイプ

基本的に都会立地が成功しやすいです。
利用料も格安でインバウンド需要が見込める立地に適しています。
コロナ前には、東京都内、大阪市内、京都市内などで爆発的に急増しました。
整備費用が安く参入障壁が低いため、短期間で競争が激化する特徴があります。
お奨めしない業態ですが、駅近などの利便性の良い物件が見つかれば、事業参入の検討余地はあると考えられます。
マンションの管理規約で民泊を禁止する場合や、自治体によっては民泊そのものを禁止するケースがあります。
事業計画立案時には確認が不可欠です。
住宅宿泊事業法(民泊新法)による営業日数180日の規制ができたため、ビジネス的に難しい領域となってしまった感は否めません。
ちなみに180日規制を超えた場合、旅館業法違反となります。
180日を超えた部分をマンスリーマンションとして運用する方法を提唱する事業者もありますが、これも旅館業法違反を問われる可能性があります。
国家戦略特区において特定認定を受けて行われる民泊は、「特区民泊」と呼ばれ、営業日数の縛りがありません。
エリアとしては、神奈川県、愛知県、大阪府、京都府などがありますが、市区町村で独自の営業規制を設けているケースもありますので、事前確認が必要です。

中古別荘リノベーション

中古別荘は、新築と比べ投資を抑えることができます。
貸別荘経営で成功しやすい建物タイプとしては、建築家が設計した中古別荘が挙げられます。
貸別荘ユーザーは非日常感を求めます。
専門家である設計士が意匠を考えた建物は住宅感を感じさせない造りとなっていることが多く、表層リフォームによる少額投資で人気施設となる可能性があります。
一方、ハウスメーカーが建築した施設は住宅感が強く、外壁の雰囲気や間取りの面も、少々のリフォームでは人気化させることは難しいです。

古民家活用

人気化させるには、高度なリノベーション知識やセンスが必要です。
古民家再生型宿泊施設は、国内に多く存在しますが、話題性とは裏腹に9割以上は低稼働です。
一部で人気化した事例はありますが、ハイセンスで大胆なリノベーション工事が行われているだけでなく、センスの良い食事サービスや温泉、サウナなど隙の無い企画が前提です。
古民家改修工事は建物の梁や外観の雰囲気を残すことを優先し、シンプルな改装が好まれる傾向があります。
色々なものを付け加えるリノベーション工事の場合、安っぽい雰囲気となるため設計士や事業者のセンスが問われます。
自信のある方以外は、古民家に手を出さない方が無難です。

企業の保養所再生

バブル期に多くの企業が保養所を持っていました。
30年以上が経過して、今では完全に下火になっています。
保養所を宿泊施設にコンバージョンする事例もいくつか登場していますが、保養所の客室は20㎡~30㎡と狭いため、このような間取りでは利用者ニーズに応えることができません。
仕切り壁を撤去の上、2部屋~3部屋をつなげることで、ラグジュアリーな部屋に仕上げる改装が有効です。
当社も滋賀県高島市で事例がありますが、元々10部屋あったものを4部屋に改修しました。各部屋に客室付温泉やサウナを完備、1部屋当たりの年商は2000万円を突破するなど盛況な営業となっています。

トレーラーハウス

グランピング人気に伴いトレーラーハウスを目にする機会も多くなりました。
トレーラーは車輌であるため、建築基準法の制約をうけないことや法廷耐用年数が4年と短いため、投資家の節税ニーズを取り込めることを背景に急増した印象です。
トレーラーハウスは車輌として大きさに制限があるため、非常に狭い空間づくりしかできません。
人気貸別荘の条件である大人数対応は困難であり、売上がさほど上がらないデメリットがあります。
最近は複数トレーラーで1つの部屋を形成する考え方が採用されるケースもありますが、デザイン性などの点で繁盛している施設は少ないのも現状です。
また「宿泊施設として常設的に使用する場合は建築物」という見解の自治体も増えてきました。
開業エリアによっては、そもそも採用不可のケースもあります。
このような土木事務所はまだ少数ですが、今後は各都道府県に広がることも想定しておく必要がありそうです。

新築ヴィラ

当社は基本的に新築タイプで貸別荘を行っています。
プライベートプール付ヴィラや温泉ヴィラは国内でも供給数が少なく、人気があります。
ただし昨今の建築コスト値上がりにより、1棟に要する整備費が5000万円~1億円ほどとなるため、集客や運営ノウハウを確立できていない事業者には、かなり参入障壁が高くなりました。
当社の運営施設では、およそ1棟につき年商2000万円~4000万円の実績がありますが、他社の施設では1棟の年商が1000万円に届いていないケースも伺います。
年商1000万円の売上想定で組まれる投資計画は、1棟2000万円~3000万円となるケースが多く、昨今の建築費上昇によりほとんどで予算オーバーしてしまい、計画が頓挫しています。
2000万円台で整備する建築物はコンテナ建築か木造建築となり、そのような低予算で実施された施設で予定通りの売上を確保することは至難の業となっています。

儲かる貸別荘経営その5「開業予算と収支計画のポイント」

イニシャルコストを試算するポイント

都市計画法の対応から検討、大規模な開発工事が必要になるか否かがとても重要です。
特に10000㎡を超える開発許可申請は、かなりの時間を必要としますので、貸別荘の開発地としては厳しいです。
水道、電気、排水関係のインフラ整備も重要です。
未開発地の場合、上水の引き込み工事に相当額の負担が必要になり、特に注意が必要です。
海や湖の近くでは、排水処理についても事前調査が必要です。
放流制限があるケースもあり、イニシャルコストに大きく影響します。
海への放流は漁協の同意が必要なケースも多く、時間を要することもあります。
他にも用途地域、防火、自然公園法、景観条例など専門的な知識がないと対応が難しい場合もあります。
「わからないことが多く心配だ」と感じられる方は、ご相談に乗りますので、お気軽にお問い合わせください。

儲かる貸別荘の重要指標

貸別荘経営で最も重要な指標はADR(客室単価)です。
この理屈はリゾートホテルや旅館も共通です。

観光系の宿泊業態は、売れる日と売れない日が、ある程度共通しています。
日本は基本的に全国一律に休暇をとるシステムとなっており、春休み・GW・夏休み・冬休みは一緒ですから、販売しやすい日は、どの施設も同じです。
この確実に予約が入るタイミングでしっかりと利益を稼げる施設づくりが、経営の第一ポイントです。

次にオフシーズンの集客です。
集客時期によってターゲット層を変化させていくこと、そのターゲット層に響く宿泊プランや料金プランをタイムリーに打ち出していく必要があります。
夏はファミリー層を中心、春や秋のシーズンは未就学児童の母親や若者グループも考えていくことがベースとなります。
施設の立地によっても、集客ターゲットは個別に検討する必要があります。
この点もご興味がある方はご相談ください。

最後に、貸別荘でしっかり利益を出す上で大事なポイントです。
それは「経費をできるだけ変動費化させる」ということです。

・固定費…売上げに関係なく必要な費用(固定人件費・不動産コスト・減価償却費など)
・変動費…売上に比例して増減する費用(クレジット手数料、集客手数料、食材費など)

大まかに上のような考え方ですが、貸別荘バケーションレンタルは費用の大部分を変動費化することが可能です。
特に食事提供の仕込みや調理を施設内で行う前提で事業を組み立てると、どうしても固定人件費が膨らみます。
このような仕組みですと、繁閑の大きい貸別荘では、閑散期の赤字リスクが高くなります。
食事提供をケータリングのような形に近づけることで、この点は解消できます。

また客室の清掃費も、施設間でバラつきが大きい費用の一つです。
予約状況は数週間前から予測可能であり、宿泊予約があった場合のみ出勤していただく雇用契約のスタッフを数名かかえると、収益性の高い貸別荘経営が実現します。

以上、儲かる貸別荘経営のポイントをお伝えしました。
より詳細な情報が必要とお考えの方は、ぜひお問合せ下さい。

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