貸別荘バケーションレンタルの平日対策

日本中ほぼ全ての貸別荘バケーションレンタル共通の悩みといえば平日の集客対策と言って過言でないでしょう。

日本は土日休みのサラリーマンが多く、長期休暇もほぼ同時期という特徴があります。
とりわけ、観光系宿泊施設は、土曜日や夏休みはどこも満室のフル稼働、それ以外の平日はガラガラという状態です。
年のうち半分以上はガラガラ状態であるにもかかわらず、夏休みは人手が足らない歪な状況。人手が足りず、人材派遣で補充せざるを得ない場合もあり、経営的には非効率です。
一方、お客様にとっても休日はどこも大混雑、料金も休日料金で割高という点は大いに不満です。
平日の集客が安定し、需要が平準化してくれればと願う経営者も多いですが、なかなか解決の糸口がないのが実情。
そのような中ですが、当社では貸別荘バケーションレンタルの平日集客について研究を重ねています。今回は、その平日集客の考え方や具体的手法について紹介します。

平日に旅行できる人は?

そもそも「平日に旅行ができる人」ってどんな人でしょうか?
原則的には、どんなにお金持ちで旅行が好きな人であっても、子どもが就学している家族連れは、平日の旅行は不可能です。
当たり前ですが、親は自由に休みがとれても、子どもの学校は休みではないからです。

基本的に「平日に旅行ができる人」は、子どもがいない大人か、未就学の子を持つ親、シニアとなります。
この中で、最も平日に集客しやすいのは、「成人女性グループ」です。
次に大都市からアクセスのよい貸別荘バケーションレンタルは、「未就学の子を持つママ」もターゲットにしやすいです。
「シニア」は春休みなど特定の季節に集客しやすいです。

成人女性グループを平日に集客する条件

成人女性グループの集客で絶対に気をつけなくてはいけない点は「価格(お得感)」です。

平日に旅行する成人女性はほぼ例外なく価格に厳しいと感じます。

1人旅の場合は自分自身へのご褒美ということで、高額消費もありますが、グループ旅行は価格面でお得感の演出ができないと集客は難しいです。
プライシングを考える際に重要なのは金額の高い安いでなく、土日祝との価格差やプラスアルファのサービスです。
食事付きで1泊10,000円以下の設定などは必要ありません。
相対的安さを訴求することがポイントです。

 

未就学の子を持つママを平日に集客する条件

未就学児童を持つ母親を平日に集客できる貸別荘バケーションレンタルは限られます。
住まいから移動距離が長いと集客は苦労します。
また夫への遠慮から、泊まりが難しいケースもあり、デイユースプランが有効打になるケースもあります。
ただデイユースは、都市部に近い立地の貸別荘バケーションレンタル限定です。
都市部近郊の貸別荘バケーションレンタルの場合、幼児や赤ちゃん向けコンテンツを前面に打ち出せば集客効果を得ることができます。
幼児や赤ちゃん向けコンテンツは、小さな子供が遊べるちょっとしたスペースの設置(プラレールやレゴで遊べる場所)や動物ふれあい体験、赤ちゃん向けアメニティや安全対策が万全である点を訴求します。
母親向けのコンテンツとしては、主要な駅からの送迎サービスなどが効果的です。

シニアを平日に集客する条件

平日でも比較的自由な時間があるシニア層ですが、貸別荘バケーションレンタルで集客するのは難しい部分があります。
しかし孫の春休みのタイミングを狙った3世代向けプランは効果が出るでしょう。
祖父母、娘(母親)、孫という父親抜き3世代旅行のタイミングは春休みが多いようです。
シニアは真夏や真冬の旅行を控える傾向があり、春休みがちょうどよいタイミングに当たります。
春休みの平日は、決算前でもあり一般的に父親が休みを取りにくいタイミング。
祖母と娘と孫の組み合わせに響きそうなプランも検討してみてください。

インバウンドは平日集客の特効薬になる

インバウンド集客にも力を入れましょう。
外国人が日本に訪れると、平均4〜5泊することが普通ですから、自ずと平日のお客様となります。
特に台湾人や香港人などは貸別荘バケーションレンタルと相性がよく、日本への旅行客としてリピーター化しやすい国に特化して販促策を実施しましょう。

当社でも外国人目線で考えたコンテンツを持つ海外サイトの作成などを進めており、インバウンド対策を強力な平日対策とすべく日々研究と実践を重ねています。

マーケティングオートメーションを活用した平日対策

当社グループで最も力を入れている集客策です。
平日利用のあった利用者データを管理、次回の平日旅行を提案して平日宿泊のリピーター化を促すマーケテイングシステムを構築しています。

平日利用客の属性と、反応率が高かったクーポンやプランをウェブ広告と連動させる取り組みも行っています。
グループ会社である株式会社ブッキングリゾートが運営するリゾートグランピングドットコムでは、掲載施設数も増加し、多くの平日集客に関するデータが集まっています。

貸別荘バケーションレンタル最大の難題である平日対策

完全に解決することのない永遠のテーマに挑み続けることが大切と考えます。

2022年の全国旅行支援では、「Go To トラベル」の反省を活かし、分散化させるために平日割引を優遇させました。
平日に自由に動けるシニア層に響いたようで、クラシックホテルや温泉旅館で効果が上がったようです。

ワ―ケーションやリモートワークの体制を整備する企業も増えてきています。
コロナをきっかけとしたワークライフバランスの見直しが進み、学校の休みを含む社会全体の休暇のあり方が見直されていけば、より効率的な経営が可能な時代がやってくるかもしれません。

観光大国フランスでは、休日の分散化が進んでいます。
長期休暇をとるタイミングは3つのエリアでそれぞれ異なり、観光消費を分散化させる効果が認められているそうです。

日本でも海外事例にならって、休暇の分散化について一部で実証実験が始まっています。
フランスのように国民に根付くまでには、相応の時間がかかりそうですが、こうした取り組みを通じて、少しでも現状が改善されればと願うばかりです。

関連記事

PAGE TOP