貸別荘バケーションレンタル 10のビジネスモデル

貸別荘バケーションレンタルのビジネスモデルについて解説します。
また貸別荘バケーションレンタルビジネスが成功するためにクリアすべきポイントについて書きたいと思います。

コロナウにより三密回避の旅行が注目を集め、貸別荘バケーションレンタルに注目が集まっています。
貸別荘バケーションレンタルを成功させるために何がポイントとなるのか、収益性の高い施設はどのように企画開発するのか。
開業をお考えの事業者に、ビジネスモデルの特徴と共に成功ポイントについてご紹介します。

1.自社開発&自社運営型モデル

自社で土地を手配、自己投資で建築した建物を貸別荘バケーションレンタル事業で運営するモデル。
銀行融資を利用する多くの場合、担保設定を可能とするため土地所有が前提となります。
運営実績が豊富な企業は借地でも融資の受入れは可能ですが、多くの場合は困難。相応の資金力と運営力が求められます。
貸別荘バケーションレンタル事業に転用する不動産を所有している場合、収益性の高い事業となるケースがあります。
民泊の場合なら1棟所有するマンションや保養所を転用するケースも考えられます。

2.MC方式受託運営型モデル

不動産投資をしたい投資家を見つけ、土地や建物を手配してもらうモデルです。
人件費、リネン費、OTA支払手数料、光熱費、食材経費を施設所有者に請求し、GOP(≒営業利益)を3%~20%徴収するモデルです。
運営受託する企業のリスクは低いが、収益性は上がりにくいモデルです。
民泊では売上の20%前後を受け取り手数料として、別途清掃費、光熱費、販促費(エアビーなどのOTA手数料)を徴収するモデルが主流となっています。

3.定期借家契約型(リース型)モデル

土地・建物を毎月固定賃料で借上げるモデル。
固定的に賃料が発生する為、運営企業は赤字になるリスクを負います。
集客力や運営力に長けた事業者でないと採用が難しいモデルです。
昨今は建築費高騰より、投資家が満足する利回りが達成されないケースが増えています。
また運営企業も、OTA集客を前提にするケースが大半の為、売上予測が難しくプロジェクトとして成立しにくくなっています。
投資家にとっては毎月安定した賃料を受け取ることができるため、安定した賃貸経営が可能です。

4.集客&マーケティング特化モデル

施設の開発や運営を行わずに集客だけに特化するモデル。
経営上のリスクが少なく、魅力的な事業領域ですが、参入障壁がとても高い分野です。
海外OTAのAirbnb(エアビーアンドビー)、Booking.comなどがあり、宿泊料の15%~20%を徴収する事例が多いです。
国内では、当社のグループ企業である株式会社ブッキングリゾートや、一休バケーションレンタルなどがあたります。
過去、HISやJTBなどのリアルエージェントもOTAへ参入しましたが、うまくいかず撤退するなど、スケールアップとマネタイズを成功させるのは難しい分野。
エリア特化型のポータルサイトを作っている中小事業者も散見されますが、競争の激しいIT分野で成功事例は少ないです。
キャンプ場の集客サイトである「なっぷ」は大手が着目しないニッチ分野で成功した数少ない事例です。

5.フランチャイズモデル

集客&マーティング特化モデルに類似したビジネスモデルです。
特定ブランド名を冠して、統一ブランドで企画開発から集客までを本部企業が行うモデル。
貸別荘バケーションレンタルでは、フランチャイズ展開している企業は見当たりませんが、より大きな市場であるホテルではアパホテルや外資系のマリオットなど、多くの成功事例があります。
近しいビジネスモデルを採用している事例はありますが、ブランドとしてはエンドユーザーがあこがれを抱くほどの認知獲得に至っていません。

6.ホルダー型(運営委託型)モデル

資本力のある大企業で採用されるケースが多いモデル。
人的マネジメントリスクや食事提供リスクを回避することができるため、大企業に支持されるケースが多いようです。
自社運営モデルよりも収益性は劣るものの、施設拡大のスピードアップや業務分野を絞り込むことによる経営効率化を実現しやすいのが特徴です。
また優れた運営企業と提携することで、開発時の負担や集客リスクを回避できるため、パートナー企業の選定が重要なポイントとなります。
貸別荘バケーションレンタルでも多く採用されるパターンです。

7.指定管理者&PFIモデル

市町村や都道府県が所有する施設を運営するモデル。
運営赤字が見込まれるケースでは指定管理料を受け取ることも可能です。
近年は行政側のコスト負担を引き下げる為、PFI事業が盛んに実施されています。
デメリットとしては、公募による入札前提のため事業参入を目指しても落札できない点が挙げられます。
また契約期間が短いケースや、事業内容に制約がつくケースも多く、自由に事業を展開できない点もデメリットとして挙げられます。
一方、通常では手に入りにくい好ロケーション案件や格安賃料の案件も多いため、募集内容によっては魅力的なプロジェクトになる点がメリットです。

8.サブスク別荘モデル

近年新しく登場した事業モデル。
シェアリングエコノミーの代表的ビジネスの事例として、月額固定の貸別荘事業者が増加しています。
サブスクリプション別荘は特に若い層に人気となっています。
活用されていない中古別荘や保養所を再生するモデルや、新築を行うモデルなど関東圏を中心に数社が参入しています。
会員を短期間で増やすには、初期投資をカバーする投資家を確保する必要性があるため、一般的な貸別荘ビジネスより難易度は高いといえます。
また会員数と提供する別荘数をバランスさせることが難しく、2022年時点では、ほぼ全ての企業が赤字経営という状況です。
事業規模がスケールし損益分岐点を超えてくれば、安定的な売上を確保できる点が魅力です。

9.会員制モデル(シェア別荘モデル)

軽井沢や沖縄で多く見られるビジネスモデル。
貸別荘やバケーションレンタルを複数のオーナーで所有するモデルです。
初期投資の回収が早いことがメリット。
ただ、初期販売時点の利益や売れやすさを優先する事業者が多く、低額料金を設定するため、運営利益が見込めないケースが多くなっています。
そのため事業規模を拡大できた事例は少ないです。

当社でも一部、この事業モデルを採用しています。
当社では、利用権を販売する方式を採用していますが、年365日の半分程度を会員向けに設定、残りの日はビジター向けに販売することで、運営利益を確保しています。
運営ノウハウだけでなく、物件販売ノウハウが必要になる為、参入障壁は高いビジネスモデルです。

10.ミックス型モデル

4の集客&マーケティング特化モデルを成立させることで、他のビジネスモデルに参入しやすくなります。
逆に4のビジネスモデルは1の経験を積まなければ成功が難しい部分が多いです。
国内企業で成功事例はほぼ見かけませんが、北米ではバケーションレンタル運営会社のVACASAなどの事例があります。VACASAは急成長企業であり年商は1400億円を超える規模となっています。

当社は1.2.3.4.6.7.9のモデルを全て採用しています。
利害が異なる各々の立場で経営を行うことにより、施策の精度を高めやすい環境を作ることを意識しています。
また、1.4.9のビジネスモデルは各々に補完関係にあるため、競争優位性を高めることに有効です。
ビジネスモデルを融合させることが当社の勝ちパターンとなっています。

 

貸別荘バケーションレンタルで成功する3つのポイント

・貸別荘バケーションレンタルの開発
・インターネット集客戦略
・運営オペレーション

 

貸別荘バケーションレンタルの開発について

(1)立地戦略

貸別荘バケーションレンタルの商圏設定ですが、都会の中心部から高速道路で2時間以内、距離150㎞以内にある場所を選択していただきたいと思います。
当社の調査では貸別荘バケーションレンタルを利用される方の過半数は4~5名のグループで利用している結果になりました。
当社直営の貸別荘バケーションレンタルも、カップルやご夫婦などの2人用の客室より、4~6名、さらには8~12名が一緒に泊まる大型施設の稼働率が高く、アンケートの裏付けデータとなっています。
貸別荘バケーションレンタルは「旅」ではなく、「泊まりのBBQ」や「仲間同士で楽しむレジャー」と捉ええるユーザーが多いようです。
レジャーやBBQは移動距離が短い行先が選択される傾向が強く、近い場所が適性立地です。
仮に都心から離れたエリアで貸別荘バケーションレンタルを企画するなら、客室数を少な目にした高級路線や、秘境施設などターゲットを絞ってエッジの利かせた施設づくり、「旅」を志向した方が成功確率は上がります。

(2)法規制をクリアする

貸別荘バケーションレンタル開発を進めていくと、様々な法規制の影響を受け開業に制約を受けることになります。
法的に開発可能で、宿泊施設が営業できる場所か否かをチェックすることが必要です。
法規制により「開業不可」「開業が極めて困難」となるのは、主に下記のようなものがあります。

➀市街化調整区域
②住専地域など旅館業不可の用途地域(民泊は可能なケースあり)
③自然公園法による特別地域(特に第1種)
④周辺に民家や学校が多く、開業に適さない土地
⑤土砂災害特別警戒区域で、安全が担保できない土地

詳しくは割愛しますが①から③の土地は開業を回避することが望ましいです。
④については、旅館業法許可を得る際に住民説明会が必須になるエリアもあり、夜間の騒音やBBQの煙の臭い、火の始末など、近隣住居がネガティブな反応を示すケースも出て来るので注意が必要です。
⑤の土砂災害特別警戒区域は、開発工事や建築物に関する整備条件が特別に定められています。宿泊者の安全を考えるとおすすめできません。
また一定の面積を超える未開発地で建物を建築する場合は開発許可が必要です。
その際は、雨水対応について行政機関と事前協議を行い、開発許可申請を行ったうえで工事に着手する必要があります。

(3)初期投資の回収は5年以内

初期投資(イニシャルコスト)は、施設の規模や設備の内容で変わります。
貸別荘バケーションレンタルは電気引き込み工事、水道設備工事の建築費、家具や家電の購入費など合算して、一室あたり2500万円~4500万円(土地取得費を除く)が初期投資の目安です。
後述しますが、貸別荘バケーションレンタルは効率的なオペレーションを実現すれば、売上高対営業利益率で40~50%が達成可能です。
いずれにしても、自社所有の場合は初期投資の回収を5年以内にする投資計画をお薦めしています。

 

インターネット集客戦略について

集客戦略が貸別荘バケーションレンタルの成否を決める最大のポイントです。
言い換えると、多少の立地や設備の不利なら、集客戦略により充分カバーできます。
集客戦略が最重要と断言する理由は、次の2つです。

(1) 集客強化しないと予約は入らない

ホテルや旅館等の宿泊事業者は、楽天トラベルやじゃらんなどのOTA予約サイトにより集客をします。特に集客を考えなくても、「楽天トラベルが勝手に集客してくれる」のです。
ところが貸別荘・バケーションレンタル・民泊の場合、OTA予約サイトがあてになりません。
彼らにとって室数が少なく、売上の見込めない貸別荘・バケーションレンタル・民泊の優先順位が低いからです。
したがって、自社の公式サイトから予約が入る仕組みを作らない限り、全く予約が入らないなんて事も充分に起こり得ます。

(2) 冬やオフシーズンは予約が入らない

貸別荘バケーションレンタルは、売上利益のほとんどを夏休みに稼ぎます。
逆に冬のオフシーズンや、平日は放置しておくと全く予約が入りません。
普通に考えれば、誰も真冬にBBQをしようとは思わないし、子どもの学校があるので平日は泊まれないから理由は明確です。
となると、せっかく稼いだ夏の利益を冬や平日に吐き出すことも。
冬やオフシーズンの集客戦略を立てない限り、全く予約が入らないことも起こり得ます。

まとめれば、貸別荘バケーションレンタルの集客戦略とは、自社の公式サイトから予約が入る仕組みと、冬・オフシーズンの集客です。

 

運営オペレーションについて

貸別荘バケーションレンタルにとって、売上高対営業利益率40%~50%は充分に達成可能な数字です。
これはホテルや旅館などの他の宿泊業態と比較しても圧倒的な収益力の高さです。
40%~50%の高い営業利益率を達成するには、運営オペレーションを効率化することがキモになってきます。
そのためのポイントは次の2つ。

(1) 月々のランニングコストを変動費化する

極論を言えば、一部の固定的な人件費、減価償却費、賃料、リース料、借入金利以外は全て変動費となるように運営するのがポイントです。
貸別荘バケーションレンタルの稼働率は季節により大きく変動します。
稼働率は8月の90%代から1月の10%代まで乱高下です。
8月のピークにあわせて運営体制を組めば、1月は大赤字です。
逆に全ての経費を変動費化することが出来れば、例え予約が入らない1月や2月でも黒字化が見えてきます。
経費の変動費化で最重要視しているのは人件費、特に清掃に要するスタッフの人件費です。
当社がコンサルする施設では、「清掃スタッフの人数や人時を予約状況に比例してコンロトールする仕組み」を導入頂いています。
ここを抑える工夫の有無が貸別荘バケーションレンタルの成功を左右します。

(2) 最少人数で運営する

人件費を変動費化するだけでなく、最少人数で運営できる体制作りも重要です。
そのためには、「必要な仕事」と「必要でない仕事」に分け、「必要でない仕事」を辞めても顧客の満足度が下がらない工夫が必要です。
一番の項目が「食事提供体制」です。
当社プロデュースの貸別荘バケーションレンタルでは、「施設内で食材仕込みや調理を行わない体制」を築いてもらっています。
その結果、売上高対人件費比率20%以内を実現、これは同業他社と比較して図抜けて低い数字であり、収益性を高めるための必須条件です。

 

私たちは、貸別荘バケーションレンタルが成功するために、立地戦略、集客戦略、運営オペレーションの3つのポイントについて、直営事業者だからこそ分かるノウハウを提供しています。
より詳細な情報が必要な方は、お気軽にお問合せ下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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